皆さんは遠野というと何を思い浮かべますか?
私は遠野といえば「遠野物語」で柳田国男を思い浮かべます。
じゃあ何県だと思いますか?宮城県?秋田県?青森県?山形県?違います。
岩手県ですね。近くには釜石市なんかがあります。釜石製鉄なんて聞いたことないですか?
そう鉄で有名です。昨今の東北震災では津波で甚大な被害が出てしまいましたね。
多くの人が地名は聞いたことはあるけれど、詳しくは知らないんですね。ここに行くまで、私もそうでした。
柳田国男という人もその一人、作家だとは知っていても、いつの時代の人かと聞かれるとわからない。
昭和初期?大正時代?いえいえ明治時代それも終わりの民俗学者です。
この柳田国男が神秘に包まれた遠野にひかれ「遠野物語」を書き上げました。まさに妖怪変化、「ゲゲゲの鬼太郎」状態です。
それがここ「遠野」という村です。時間が過去でぴたりと止まっている感覚ですね。
私の印象はよどんだ何かがたまっている感覚、変な(ねじれたような)エネルギーがたまる場所、いつも曇っていて薄暗いイメージがある。ただ、悪い意味ではなく神秘的で怖い。
ここは神秘そのもの他の世界の入り口があるようなイメージ。
「遠野」という場所はまさにそんな場所でした。
あの柳田国男先生も言っていました。
「早池峰山、六甲牛、石上の三山に囲まれたこの地「遠野」は、いわゆる観光地とは程遠い、むしろ山間にひそかに息づく隠れ里の感すら覚えてしまう。一年の大半は寒風が吹きすさび、深い雪に覆われる。華やかさとは無縁の村なのである。」と語っている。
貧しく、ひっそりとした場所でまさに妖怪変化がうろつく地域、近年ではUFOも多く目撃されているとか。不思議な地域であることは確かでしょうね。
そうこの地はまさに、あやかしや妖怪のたぐいの伝説が多いと聞いたことがある方も多いと思います。
これらの話をまとめたのが柳田国男の「遠野物語」なのです。
興味のある方は読んでみてください。
それでは、たくさんの物語の中から少し、紹介してみましょうか?
皆さんも聞いたことがあると思いますが「迷い家」という話があります。
「ある女房が、山に山菜を取りに入った。夢中になって取っているといつの間にか山深いところまで来ていて道に迷ってしまった。帰ろうとしても一向に村の方角がわからず、途方に暮れる。しかし突然目の前に黒塗りの大きな門構えの屋敷が現れた。恐る恐る中に入ると庭にはたくさんの鶏が、しかし人はいないようだ。家の入り口から中を覗き込むと土間があり、馬屋には馬がつながれていた。家の中に入ると囲炉裏には鉄瓶がかかっていて轟々と湯が沸いていた。「もし。」と声をかけたが人の気配はなく、あたりを見渡したが誰もいない。女房は怖くなり門から駆け出した。ところがどうだろう、今度は苦も無く村への道を見つけ無事に家に帰ることができた。女房はこのことを誰にも話さなかったがあるとき、近くの小川で上流から流れてきた朱塗りの椀を一つ拾う。しかしたいそう豪華な朱塗りの椀を、一つだけで使うことも出来なかったため、米をすくうのに使っていた。不思議なことにこの椀ですくった米櫃の米はいつまでたっても減ることはなかった。不思議に思った家族のものが女房を問い詰めると、先日山で迷った時の出来事を家族に話した。この時を境に、この家に次々と幸運が舞い込んで、たいそう裕福に暮らしたそうだ。」という話であった。「迷い家」は見つけた人はこの家から一つだけ品物を持って行ってよいとされる。女房は何も取らずに家を出たため椀のほうから女房のところにやってきたということらしい。
この迷い家、一度入ると一生のうちに二度とその人の前には現れず、探し出すこともできないとされている。
私にとっては大変興味深く不思議な話であった。
しかし、この話たいへん幸せそうな話とは裏腹に、何故だかわからない言い表せない恐怖を感じるのは私だけでしょうか。
なぜ怖くない話なのに恐怖を感じるのか?
理由は解りませんが、この話から私が感じ取れるものは、下手をすればこの異次元のような場所から抜け出せなくなる可能性がある。
そう感じてしまいます。
そう、神隠しがこれにあたるのではないかと思っているからなのでしょう。
実は戻ってこれる人はまれで、戻れない人のほうが多いのではないか?
戻れなかった人は必ず、ここの住人に合うはず。
その時の恐怖を考えると計り知れないほどのものではないでしょうか。
この手の話は、よい話ばかりではないのです。
そのいい例が「ジャックと豆の木」です。これも一種の迷い家で人食いの大男が住む雲の上の大きな家。ジャックは金の卵を産むガチョウそして2回目に金の竪琴を盗んできますよね。2個盗んではいけないのに盗んだため、巨人と戦う羽目になるのではないのでしょうか?
また、2という数字は災いを示すようでこの迷い家を二人で発見すると一人に災いが襲い掛かるといわれています。
近年、こんな話をインターネットで見つけました。
NTTの職員が山で道に迷い途方に暮れていると、ある大きな屋敷を見つけたそうです。この屋敷を覗き込むと、大勢の人たちが夕食の最中で大昔のちょんまげ姿や鎧武者がその家にはいた。床の間には鎧兜が飾られていてとても現代だとは思えなかった。しかしよく見ると、土間に脱ぎ捨てられていた子供の靴には今風の漫画のキャラクターが印刷された物だった。職員は少し安堵して思い切って家人に声をかけた。驚いたのは声をかけられた家人で「何故あなたはここに入ってきたのと逆に尋ねられる。」理由を聞いた家人は仕方なく納屋に一泊させてもらい早朝にその家人に案内され山麓まで送ってもらった。別れ際に家人は昨夜のことは他言無用いわれ、長らく黙っていたが病院で臨終間際にこの話を病室の患者に話して聞かせたそうだ。当然彼はその後この家を探したが2度と見つけることはなかったそうです。
このほかにも「河童ぶち」、「お白さま」、「座敷童」などたくさんの不思議な話が盛りだくさんのこの地はまさに異次元の入り口。
異次元との扉が開かれるここ「遠野」尋ねてみませんか?
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