こんにちは、神崎慎一郎です。
今回は以前お話しした。「しっぺい太郎」こと霊犬早太郎の話です。
静岡県の磐田市では「しっぺい太郎」と呼ばれています。
ところでこの「しっぺい」とはいったい何のことだろう。と前々から考えていた。
インターネットには「しっぺい返し」なんて書かれていて、すぐにお返しをすることなんて、
もっともらしい解釈をしていたが、あれは「しっぺ」であり「しっぺい」ではない。
「しっぺい」とは坊さんが持つ、先の曲がった木の棒があるようだが、名前となるとなんかしっくりとこない。
これが犬と関係あるのか?どうもどこかピンとこないばかりか、頭に?マークが・・・・。
犬につける名前なのだからそれなりの意味もほしいところ、またなずけ親が坊主とくれば洒落の一つもないとなと、勝手に考えていた。
そんな中、もう一つの説、信州の駒ヶ根の光前寺ではこの犬ことを「はやたろう」と呼んでいた。
今では漢字で「早太郎」とあるが、当時はこう書かれていたのではないかと仮説を立てた。
「疾風太郎」となる。
これをお坊さんは「はやたろう」読んだが、読み方を変えれば「しっぷうたろう」と読めるのだ。
事実、この駒ケ根でも「しっぷうたろう」とこの犬を呼ぶ地域があるそうだ。やはり「早太郎」ではなく「疾風太郎」が正しいようだ。
これはおもしろい、考察を深めてみよう。
「はやたろう」とは当時のお坊さんが付けた名前。漢字で「早太郎」と書いたのでは意味がない。
むしろ漢字で「疾風太郎」と書くほうが説得力がある。ましてや野山を疾風のように駆け抜ける山犬ならなおのことだ。
和尚さんは墨で板に「疾風太郎」と書く。村人に何と読むのか尋ねられた和尚さんは「はやたろう」と答えた。これが真相だろう。
私が以前考えた説にぴたりと合致した。頭の中で謎のピースが「かちりっ!」と音を立ててはまった感じだった。
当時はどこの村人も漢字を読める人も少なかったと推測する。
「はやたろう」が死んで名前だけが漢字で残ったことから、これを見た村人が「しっぷうたろう」読んでもおかしくない。
これが磐田に伝わり、いつの間にかなまってしまい「しっぺいたろう」となってしまったのだろう。
「しっぷう」と「しっぺい」は音が似ている。
磐田市の犬の呼び名と駒ケ根の犬の名前が違うことに長年疑問を抱いていたが、ここに来てようやく疑問が解けてうれしい限りである。
この早太郎は、長野県は上伊那郡駒ケ根市にある「光前寺」に飼われていた山犬である。
飼われていたというのは語弊がある。
本当は山犬(日本オオカミ)の母犬がこの光前寺の本堂の床下で何尾かの子供を産んだ。
安全な場所を探してこの場所を選んだのだ。
和尚さんは母親にえさを与えて、世話をした。
この時の恩返しから、母親が自分の子を一匹残して山に帰って行った。
この犬が「早太郎」である。疾風のごとき、野山を駆け抜けるさまは、駿河の国、遠州まで響き渡り、ヒヒの化け物までもが知るところになる。まさに霊犬といわれるほど立派に成長していたのだろう。
また、光前寺は天台宗の別格本山(宗派において本山に準ずる待遇を受ける特別な寺院のこと)山号は宝積山(ほうしゃくさん)、院号は無動院、本尊は不動明王である。寺としては長野県では善光寺に次ぐ大きさの寺で、貞観(じょうかん)2年(860年)に開かれたとされている。古くは武田氏や羽柴氏から庇護を受けたとされ、のちに徳川家光から朱印地60石を受けていた。
このことから、徳川家康から縁のあった地方とされ、井伊家とも縁が深い伊那谷という特殊な地方にこの伝説は育っていく。
特に家光の四男が家綱の「お犬様」(生類あわれみの令)であり、犬への異常な執着もこれらの伝説が、家光の心を打つ話としてその子、家綱に語り継がれたのかもしれない。
実はこの光前寺には私の大好きなものがあります。
本堂の脇から湧き出ている「延命水」です。
この湧水をひとたび飲めば10年長生きをするといわれ、小さいときはごくごくとたくさん飲んだものです。
中央アルプスから流れ出る水は夏でも冷たく、田植えの時期など、そのまま水をひくと稲を痛めるため、田んぼの脇を這わせて水を温めてから引いています。とてもきれいで透き通っています。
この光前寺にはまだまだ面白いものがあります。
参道の石垣の間に「ヒカリゴケ」と呼ばれる苔が生えていて、外から光が入ると光って見えます。私が小さいころは穴に覗き込むように見えましたが今は離れたところからしか見えないのは残念な限りです。
参道わきの杉の巨木は圧巻で、大人6人がかりでやっと抱えることができるほど太く、大きな木が何本も生えています。
本堂の左手には3重の塔がそびえたち、その前に「早太郎の墓」が鎮座しています。
参道にはおおきな鐘つき堂もあって、お正月には108回この鐘を突くことができます。
また昭和42年5月に名勝庭園に指定された素晴らしい庭園と観音様を拝観できます。
最後にはお茶とお菓子のサービスがあり、「光前寺」を訪れた際にはここに立ち寄ってみるのもまた旅のよう思い出になります。
この駒ケ根市は早太郎の縁で静岡県磐田市と友好都市になり、こんなところにも地域を超えた関係があることに気づきました。
また桜のころには枝垂桜が咲き乱れ、その美しさには人々の心を和ませてくれます。
まだ中央アルプスの千畳敷は雄大で、昔は雲が下から吹き上げて自分たちを貫いていったのを覚えています。
この季節、中央アルプスには雪がありました。
私は冬の信州が大好きです。美しく雪化粧した中央アルプスはまさに圧巻。
今回は6月ということもありましたが、熱い麓と、残雪が残る山々にかかる雲がまた幻想的でした。
話は変わりますが、駒ケ根の温泉に泊まった時、中央アルプスの稜線を這うように進むUFOを見ました。
白くジグザグに進むさまは何か生物のようでもありました。
当時、私はまだ小学生だったので、父にあれはなんだと尋ねましたが「わからん。」と言われてしまいました。
まさにミステリーですね。
また、駒ケ根にはマルス酒造があって、いつでも自由見学ができたり、試飲もできます(ただし運転手はだめですが・・・。)近くにはハム、ソーセージの直売所もあります。
またソースかつ丼の「明治亭」は有名でいつも大勢のお客さんでにぎわっています。なかなきけますよ。ただしちょっと値段が高のがたまにきずです。
こんな信州の初夏にみなさんもぜひ、足を運ばれてみてはいかがでしょうか?
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